その空間に、終わらない物語を。

SOLUTION

施設運営に「エコシステム」という観点を。

施設の一部を一般開放し、組織の内外を問わず様々な人に集まっていただき、新たなコラボレーションやイノベーションが生まれる発信源にしたい。
そのような構想から、企業や行政関連などの各種施設にオープンスペースを設ける例が増えています。
しかし、実際のところは、望んだような交流が生まれず、せっかくのスペースを活用しきれていないことも少なくないようです。

いったいどうすれば、このような空間を有効に活用できるのか?
ムラヤマは「エコシステム(自走できる仕組み)」がカギになると考えています。

空間における「エコシステム」とは?

どのような施設も、空間そのものはただの箱にすぎません。空間を何らかの体験の舞台にするには、ストーリーが必要になります。そして、そのストーリーが自律的かつ持続的に機能することが、私たちの考える「エコシステム」です。

たとえば、空間の中に身を置いただけで、自然と来場者の気持ちが切り替わり、誰もがストーリーの一員になった気分で時間を過ごすようになる。さらに、そういった体験を通じて人々が交流することで、あらたなストーリーや化学反応が生まれる。そんな好循環を仕組みによって実現しようというのが、空間における「エコシステム」の考え方です。

テーマを設定し、舞台装置を用意したら、あとは俳優たちに任せておくだけで、勝手に物語が展開していく。そんなイメージで考えてもらってもいいかと思います。

「エコシステム」は、イノベーションスペースだけでなく、ショールームやミュージアムなども含め、ほぼすべての施設において重要なこと。ムラヤマは、そういった多種多様な空間づくりにおいて、この「エコシステム」の構築に取り組んできました。

「エコシステム」を生み出すための、二つの大切なこと。

空間に「エコシステム」を生み出すためには、大きく二つのことが大切になってきます。

一つ目は「目指すビジョンを深掘りし、具体的な活用イメージを描く」ことです。

施設というモノを作って終わりではなく、

「そこでどんなコトを起こしたいのか?」

「コトを生み出すことで、どのような風景が生まれてほしいのか?」

「そのためには、どのような人に来て欲しいのか」

といったストーリーを具体的に描くこと。これが、すべての根幹になります。

二つ目は「仕組みづくり」です。
ここでフォーカスしたいのは「人」です。運営の当事者はもちろん、運営に関わる様々な人を巻き込み、みんなが同じ方向を向いて頭や手を動かすようにする。そのために指針やルールをつくる。そうすることでブレや迷いが減り、たとえ運営担当者が交代しても安定的かつ継続的にエコシステムを維持することが可能になります。

ケーススタディ:神奈川大学「ソーシャルコモンズ」

2021年、神奈川大学は地域の人や企業との連携を目的に「ソーシャルコモンズ」を立ち上げました。
そのオープンに先駆けてムラヤマは、ビジョン実現に向けた「エコシステム」の構築をサポート。お客様とともにストーリーづくりから、それを実現するための仕組みづくりまでを手がけました。

このようなケースでは、まずコンセプトやビジョンをしっかりと固めて、そこから現場レベルの運営方針へと落とし込んでいくプロセスが一般的です。しかし、このアプローチは、時として理想(壮大で夢想的なコンセプト)と現実(現場での企画・運営業務等)の乖離を招くこともあります。
そこで今回のプロジェクトでは、コンセプトと運営方針を同時に組み立てるアプローチを採用。地域や企業の活性化やコミュニティのデザイン等を数多く手がける「Loftwork」 とともに、コンセプトやビジョン、運営方針などを一体化させた「ルールブック」を制作し、運営に直結する現実的な戦略の構築を目指しました。

理想と現実の間に「あるべき姿」を浮かび上がらせる。

ルールブックと聞くと規則集のようなイメージを抱くかもしれませんが、このブックの目的はむしろその反対。目指すべき将来像と、そこへ至るための道筋を明確にすることで、職員のみなさんが、より自由に、より積極的に行動できるようになってもらうことが、このブックの目的です。

ルールブックの制作にあたっては、学内関係者の考えや想いをヒアリングするとともに、周辺地域を歩いてその土地の個性や可能性などを把握する「フィールドリサーチ」や、既存のイノベーションスペース等の先行事例を調査する「デスクトップリサーチ」も実施。主観と客観(理想と現実)の両面から「あるべき姿」を浮かび上がらせていきました。

 

 

「あるべき姿」を物語へと変換する。

「あるべき姿」が浮かび上がったら、次はそれを「ストーリー」に落とし込みます。
その空間に、どんな人たちが集まり、どんな体験をし、どのような物語が展開してほしいのか、を一連の流れに沿って具体的・現実的に描くのです。

今回のプロジェクトでは、コンセプトに沿って一連のストーリーやビジョンを描くとともに、それを具現化するためのポイントとして「ビジュアル化」「点から線へ」「偶発的な出会い」という要素を盛り込みました。

ビジュアル化

目指すべき将来像や叶えたい風景を、イラストによってビジュアル化。施設運営に関わるすべてのみなさんが、頭と心の両面からコンセプトを理解し、共感できるものへと仕上げました。

 

 

点から線へ

利用者のみなさんにとっては、施設内に入って出るまでに起こる一連の出来事すべてが「体験」となります。ルールブックでは、エリアごとの体験設計だけではなく、エリアとエリア、体験と体験をつなぐためのストーリーも例示。点ではなく線による体験づくりを提唱しています。

偶発的な出会い

特定の目的に沿って活用シナリオ(ストーリー)を描くことに加えて、このルールブックでは「偶発的な出会い」も重視。それぞれ目的の異なる人と人が交わる場所を可視化することで、想定外のストーリー展開(思いもよらない出会いや交流)を誘発する仕掛けづくりをサポートしています。

 

 

物語を空間で表現する。

今回のプロジェクトでムラヤマは、コンセプトメイクやルールブックの制作といった戦略面だけでなく、オープンに向けて発生する様々な現実的課題もサポート。机上で組み上げたストーリーを、実際の空間に落とし込むところまでを担いました。

 

 

バナー制作においては、単なる旗印としての枠を超え、ソーシャルコモンズの意味や意義を内外に伝える「コミュニケーションツール」としての開発を提案。キャンパスと街の垣根をなくし、みなとみらい全体が学びの場になってほしい。そして、その一員として、神奈川大学はすべての人に開かれたキャンパスでありたい。そんな想いや願いの伝わるバナーをつくりあげました。

Talk to me

箱はあるけど、ただのイベントスペースとしてしか利用されていない。

理想の活用イメージはあるけど、実現させる道筋が見えない。

そもそも理想の活用イメージが思い浮かばない。

ムラヤマは空間づくりの豊富な経験をもとに、「エコシステム」という観点から、そのような課題を解決へと導きます。

新規の施設でも、既存の施設でも、そこにふさわしいストーリーと舞台装置をデザインすれば、きっと人が集まり、好循環が生まれるはず。
ぜひご相談ください。

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