現在、「SLCA」はPDCAのP(Plan)を終え、D(Do)のフェーズに向けて進んでいます。プロトタイプとして組み上げた企画を、どこに提案すればいいか?どのように提案すればいいか?を、日々、模索しています。
――提案先の候補は? 加持:今は、ある地方自治体を第一のターゲットにしています。
――地方自治体とは、いきなりハードルの高いところを攻めますね。
加持:その自治体は、すでに大学と共同でセカンドライフ関連の取り組みをしていて、最初に提案するなら、そういう素地のあるところの方が話が早いというか、聞く耳を持ってもらいやすいだろう、と。
――とはいえ、いきなり提案しても簡単に受け入れてもらえるとは思えませんよね。
加持:はい、いきなり「SLCA」の話をしても無理でしょうね。だから、まずはイベントとか、空間デザインとか、体験設計とか、ムラヤマの得意分野を活かして、なんとかその自治体に食い込んで、そこから信頼関係を築いていければと考えています。
――行政や自治体などは、前例や実績を重視する傾向が強いですもんね。
加持:現在は、予算書や中長期の市政プランなどを調べながら、攻めどころを探している段階です。予算を重点的に投入しているプロジェクトや、これから力を入れていこうとしている施策などを探った結果、いくつかアタック候補が浮かび上がってきました。まだ秘密ですけど。
――そうやって攻めどころを見つけて実績を重ね、いつか満を持して「SLCA」を提案するわけですね。
加持:いや、じつは「SLCA」そのものには、そんなにこだわってないんです。もちろん実現できたらいいですけど、それだけが目的じゃないんです。「SLCA」を起点として、いろいろ調べたり、提案相手に合わせて練り直したりする中で、まったく別の企画が生まれたら、それを実現していければいいかな、と。
――アラフィフ世代向けのコンテンツではなくなる可能性もある?
加持:ぜんぜんあります。自治体の課題が高齢者とか子どもだったら、それ用の企画をあらためて考えると思いますから。
――「SLCA」は、あくまできっかけにすぎないんですね。
加持:むしろ、ここからどんな派生が生まれるか、そっちの方が楽しみだったりします。極端な話、軸さえブレなければ、アウトプットのカタチはなんでもいいと思っています。
――その軸とは、どんなものですか?
加持:すごくフワッとした話になってしまうのですが、やっぱり「人の暮らしを豊かにしたい」とか、そういうことですね。「SLCA」も、アラフィフのみなさんの定年までの暮らし、定年後の暮らしを豊かにするということが根底にあります。もし、ターゲットや企画そのものが変わっても、「暮らしを豊かに」というところだけはブレないようにしたいと思っています。
わずか3人の意見を基に仮説を立て、企画を組み立てる。 そして、自治体やその関連団体へアタックする。 本人もわかっていることながら、これからの道のりは決して楽なものではないでしょう。 おそらく、何度となく空振りすることもあるでしょう。
でも、たとえ企画が受け入れられなくても、それが失敗だとは言えないはずです。 ゼロからのスタートなのですから、すべての経験が学びとなるはず。 試行錯誤も紆余曲折もすべて糧になるはず。 加持の挑戦は、これからが本番です。