ムラヤマのユニークな制度「感動体験支援施策」。この施策を利用した社員がどんな場所に赴き、何に心を動かされたのかを、インタビュー形式でお届けする企画です。第2回目は『同期旅行』がテーマです。
ここ10年くらいで、社員旅行のような話を耳にする機会が減ったように思います。でもそれは、人との繋がりが淡白になったわけじゃなく、「どんな繋がり方が心地よいか」をみんなが考えるようになったからなのかもしれません。
感動体験支援施策とは?
展示会やイベント、教育・文化施設、国際プロジェクトまで……ムラヤマは人の心を動かす空間づくりを幅広く手掛けています。そんな私たちの仕事にとって「感動体験支援施策」は人の心を動かす感性を磨く大切なきっかけになっています。このコラムでは、ムラヤマの「感動体験支援施策」を通じた社員たちの体験談をご紹介します。
施策の詳しい内容については〈感動ノート page.00〉からどうぞ。
今回話を聞いたのは、感動体験支援施策を活用して北海道旅行をした入社3年目の同期3人組。はじめは、同じ景色を前にした彼らの「感性の違い」に興味があり、そこから今の時代の「心地よい繋がり方」のヒントが見つかればと考えていました。
しかし、北海道での体験談や普段の関係性について聞いているうちに分析的な気持ちよりも先に別の感情が湧き上がってきたのです。それは、とてもシンプルで「うらやましい」という気持ちでした。

三者三様の感動。夜景で見えた絆と空間に見た探求心
旅行で一番印象に残っていることを尋ねると、井澤さんと錦織さんは、「藻岩山の夜景」を挙げました。
錦織さん「私は以前、別の三大夜景を見た経験があって。その時の感動を覚えていたので、藻岩山も絶対に綺麗だろうという自信がありました」
井澤さん「もともと行く予定はなかったんですが、ホテルに置いてあった観光ガイドで偶然見つけたんです。そんな偶然の出会いも含めて、最高の感動体験に繋がりました」
確信の出会いと偶然の出会い。きっかけは違えど、2人の心は同じ夜景に強く揺さぶられたそうです。ただ、夜景スポットといえばカップルのイメージが強く、「実際はどうでしたか?」と少し意地悪な質問を投げかけると、やはり「カップルだらけでした」と苦笑い。井澤さんに至っては、カップルの写真撮影に協力していたようです。
加持「誰と夜景を観るのかは、大事な要素だと思います。男同士でも『きれいだ』と感動できたのは何でだったと思いますか」
川越さん「この3人だったからですかね」
川越さんの反射的な回答に、疑いようのない3人の絆があらわれていました。この3人だったからこそ、藻岩山からの景色が最高の感動へと昇華されたのだと確信し、うらやましいと思った瞬間でした。そんな川越さんがそのほかに印象に残ったこととして挙げたのは、『白い恋人パーク』でした。
川越さん「北海道へ行った当時、仕事で工場の見学エリアの案件を担当していました。白い恋人パークは、人目につかないような所にまで細かなデザインや仕掛けが施されていて、勉強になりました」
先ほどまで穏やかだった彼の口調は、途端に仕事モードの熱を帯びていました。仲間との旅を楽しみながらも、その視線は常に空間づくりのプロとして、自らの仕事に繋がるインスピレーションを追い求めていました。
ただの仲良しじゃない。「同期」だから語り合えること
3人の中で感動を共有できたことは何かと聞くと、満場一致で「雪合戦」でした。思わず笑ってしまいましたが、童心に返って無邪気にはしゃげる彼らの関係性に、またしてもうらやましいと感じてしまいました。
しかし、彼らの魅力はただの仲の良い同期というだけではありません。「空間に対する感性や、デザイン、施工技術について、同じ会社で働く仲間でありライバルだからこそ熱く語りあえる」。
ここまで密度の濃い話は、友達同士ではなかなかできないでしょう。互いに切磋琢磨できるこの関係が、彼らをプロフェッショナルへと押し上げているのです。
最後に「北海道でおすすめの場所は?」と聞くと、大学の卒業論文でスタジアムを研究していたという錦織さんが『エスコンフィールド』を挙げてくれました。「スタジアムの新たな可能性を感じました」と語る彼の言葉に、川越さんと井澤さんも大きく頷きます。聞けば3人は、週末によくサッカーの試合観戦へと行く仲だという。だからこそ、その言葉には熱量と説得力が宿っていました。
「心地よい繋がり方」を考える時代に見つけた確かな答え
インタビューの終わりに「社員旅行があれば参加したい」と笑顔で話してくれた3人。井澤さんは、事業本部内の若手メンバーを集めた飲み会を主催するなど、普段から繋がりを大切にしているそうです。
彼らの姿は、私が最初に考えていた「心地よい繋がり方」の一つの答えのように思えました。会社に強いられるのではなく、自分たちの意思で関係性を育んでいく。無邪気に雪合戦を楽しみ、仕事についてはプロとして熱く語り合い、互いを高めあう。それこそが、今の時代が求める豊かで意味のある繋がりなのかもしれません。
スマートフォンが普及し、情報も選択肢も無限に増えた現代。最近ではAIも身近な存在になり、ネット検索で調べる時代からAIにまずは聞くという時代に移り変わっています。このように世の中がどんどん便利になる一方で、あふれる情報の中から何を選ぶか、そしてそれにどれだけ時間を費やすかという判断が私たちを悩ませています。なんでもできるようになったからこそ、本当に価値のあるものを選ぶむずかしさも増しているのです。
だからこそ、自らの意思で決めた仲間との時間は特別なものに見えました。情報が多すぎて何を選べばいいのか分からなくなるこの時代に「この3人との時間が大切」と迷いなく言えること。それこそが、日々を豊かにするシンプルで力強い答えなのかもしれません。彼らの楽しそうに話す姿はインタビューをしていて、本当に気持ちのいいものでした。今後の彼らの成長が楽しみです。
次回は『日常では味わえない推し活の面白さ』をテーマに綴っていきます。