〈感動ノート page.03〉私の知らないディズニーリゾートの歩き方

感動ノート Text by:加持 翼

ムラヤマのユニークな制度「感動体験支援施策」。この施策を利用した社員がどんな場所に赴き、何に心を動かされたのかを、インタビュー形式でお届けする企画が今回からスタートします。記念すべき第1回目は、東京ディズニーリゾートです。

私たちムラヤマは、「空間づくり」を仕事にしています。だからこそ、東京ディズニーリゾートが持つ「空間へのこだわり」の凄まじさには、いつも圧倒されてしまいます。

私は熱狂的なディズニーファンというわけではありません。でも、あの場所が持つ不思議なパワーによって、心が浄化されていく感覚が好きで、年に1度は訪れています。だから、『空間のディテールをじっくり観察する』なんて楽しみ方はしてこなかったのです。

しかし、今回のコラムに登場する3人の話を聞いてしまった今、もう以前と同じ視点ではいられません。次に行くときは、今まで見過ごしていた部分をチェックせずにはいられないでしょう。そんな、私たちのまだまだ知らないディズニーリゾートの歩き方について、少しだけお話ししたいと思います。

感動体験支援施策とは?

展示会やイベント、教育・文化施設、国際プロジェクトまで……ムラヤマは人の心を動かす空間づくりを幅広く手掛けています。そんな私たちの仕事にとって「感動体験支援施策」は人の心を動かす感性を磨く大切なきっかけになっています。このコラムでは、ムラヤマの「感動体験支援施策」を通じた社員たちの体験談をご紹介します。
施策の詳しい内容については〈感動ノート page.00〉からどうぞ。

夢の国を支える「見えない」デザイン

今回、感動体験の舞台として東京ディズニーリゾートを選んだ田中さん、小長谷さん、山本さんの3人の社員に同時インタビューを実施しました。
誰もが知るこの夢の国で、彼らは一体どんな感動に出会ったのでしょうか。最新のアトラクション?それとも、心躍るパレード?
もちろん、どれも素晴らしい体験だったはずです。しかし、彼らが特に心を動かされたと語ったのは、少し違うところにありました。

どうやら彼らの心に響いたのは、夢の国を支える「非日常」への、並々ならぬこだわりそのものでした。仕事柄、「空間づくり」のプロとしての視点でつい見てしまうと言います。 その視点は、インタビューする中で垣間見えてきました。

田中さん「擬岩などの造形物は、子供がよじ登る可能性まで考慮されていて、安全なデザインになっていたので流石だなと思いました」

山本さん「アミューズメント関係の業務をしているので、装飾物の構造やパーツとパーツの隠されたつなぎ目がどう処理されているかを見て、勉強させてもらっています」

まさにお二人が語るように、ゲストを現実に引き戻さないための工夫は徹底されています。例えば、SNSでも話題になった音響スピーカーは景色に溶け込むように隠され、意識して探さないと見つけられません。安全への配慮と、見えない部分にまで宿る作り手のプライド。こうした一つひとつのこだわりが結実しているからこそ、パークは完ぺきな「非日常」の空間となっているのかもしれません。そして、そのゆるぎない世界観の証明ともいえるのが、一眼レフを愛用する小長谷さんが語ってくれたこの言葉でした。

小長谷さん「どこを写真で切り取っても、ディズニーの世界観が伝わるんです」

その言葉の通り、どんな場所でカメラを構えても「夢の国」が成立する。これこそが、細部に至るまでの完璧な作り込みが成功している何よりの証拠なのでしょう。

そして、今回のインタビューで一番心に残ったのは、そんな彼らが教えてくれた「おすすめスポット」の話でした。それは、アトラクションやパレードではなく、何気ない「街の風景」の数々。

カリブの海賊』へと向かう異国情緒にあふれた小道。『ソアリン』の近くにある、ついつい通りたくなってしまう階段や坂道の風情。そして、リゾートラインの駅を降りて改札に向かわず、脇にあるデッキから地球儀(アクアスフィア)を一望できるエリア。

ポップコーンの全味制覇を目指す攻略法まで飛び出し、その楽しみ方の解像度の高さには思わず笑ってしまいました。

楽しみ方は、1つじゃない

ディズニー好きが集まった今回のインタビューは、面白い発見の連続でした。特に空間づくりの話になると、お互いに「えっ、そんなところあるの?」と驚くような細かい話が飛び出して、話が一層盛り上がります。仕事柄、つい見てしまうポイントについてのやりとりは、意外な発見が多くて有意義な時間でした。

この探求心と遊び心を持つ彼らなら、きっと使う人の心をくすぐるような、驚きに満ちた空間を創り出してくれるに違いありません。

話を聞くまで私は、夢の国が与えてくれる非日常体験とは、アトラクションやパレードが作り出す感動のことだと思っていました。しかし、それだけではありませんでした。空間の細部にまで込められた作り手の情熱やこだわりこそが、彼ら3人の心を揺さぶっていたのです。

ディズニーファンの中には、アトラクションに乗らずに一日を過ごす人の気持ちが、今なら少しだけ分かる気がします。まずは、教えてもらった「小道」を巡ることから。私だけの新しいディズニーの楽しみ方を、探しに行こうと思います。

次回は「同期3人で行く北海道旅行」について綴っていきます。

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