あらためて言うまでもないですが、「コミュニケーション」は私たちにとってなくてはならない大切なもの。意思疎通という目的だけでなく、時には安らぎや元気をもたらし、時には娯楽となり、時には悩みの種となったり、少し大げさかもしれませんが、私たちの人生やこの世の中は無数のコミュニケーションによって成り立っているといってもいいかもしれません。 特に近年は、SNSや携帯デバイスなどの発展によって、私たちがコミュニケーションに費やす時間や頻度はずいぶんと増えています。 そんな「コミュニケーション」に関して、あらたなカタチを提案するのが、この「BRILLIANT FAMILY」です。
安らぎと癒しと、 その先まで。
「BRILLIANT FAMILY」は、あらたな体験価値の創造を目指す「New Emotion」プロジェクトの第1弾シリーズ。この企画の主担当であるmaikoは、「自分が今、望んでいるもの」を手掛かりに企画を考え始めた時、最初に浮かんだのが「安らぎ」や「癒し」だったそうです。
maiko:30代になると、大きな仕事を任されるようになったり、人生の岐路もあったり、体調的にも少し衰えを感じたり、心や体のさまざまな変化と向き合う場面が多くなりました。実際に私自身も疲れを感じていて、身体的にも精神的にもリラックスを欲していたんです。 自分自身をターゲットにして浮かび上がった「リラックス」というキーワード。そこからさらに発想は進みます。
maiko:リラクゼーションというのは、確かに今の自分が欲していることですけど、ものを作る立場としては、単なる“お休み処”でいいのかという部分で疑問を持ちました。もちろん、心地よい時間を過ごすだけでも十分に価値はあると思いますが、そこに第三者が介在することで何らかの新しい価値を付加できるのではないかと。そこから思い浮かんだのが「コミュニケーション」というテーマです。 自分のことは意外と自分ではよくわからないもの。人との対話を通じてはじめて「こういう人間だったのか」とか「こういう部分があったのか」と気付いた経験は、どんな方にもあると思います。
そして、そういう時って、自分が褒められたようで嬉しかったり、「ありのままの自分でいいんだ」みたいな気持ちになれたり、心が楽になったりしますよね。そういう感覚や体験をコンテンツにしようと思ったんです。誰かとのコミュニケーションを「新しい自分と出会える体験」として昇華させることができれば、リラクゼーション以上のものになるんじゃないかって。
ありのままの自分でいられる、 時間と空間とコミュニケーションを。
「BRILLIANT FAMILY」は、仮想空間で自分のアバター(分身)をAIと対話させることによって、疲れを癒し、心を満たし、気持ちを浮上させる……というコンテンツ。リラックスや癒しは、いわばマイナスの状態をゼロに戻すことですが、そこからもう一歩進んで、プラスの状態になれる体験と言えます。
悩みを打ち明けてアドバイスをもらうということなら、占いや人生相談、カウンセリングなどが既にありますが、そういったものよりも深く自由でパーソナルなコミュニケーション体験を目指しています。 その独特の感覚を生む鍵は「バーチャル」。非対面、アバター、AIという要素を組み合わせることで、現実世界のしがらみも、対人関係のわずらわしさや気遣いも、生身の自分自身さえも、すべてを脱ぎ捨てた状態になれる。そんな世界、そんな体験なのです。
自分にちょうどいい「距離感」で。
コミュニケーションおいて、お互いの距離感は重要な要素。「BRILLIANT FAMILY」では、ユーザー一人ひとりが「ちょうどいい距離感」で対話できる世界を目指しています。
maiko:対面のコミュニケーションだからこその良さももちろんわかっています。でも、対面ではないからこそ話せることもあると思うんです。私自身、対面でのコミュニケーションがあまり得意ではないタイプなのですが、みなさんも多かれ少なかれそういう感覚はあるんじゃないでしょうか。 面と向っては話せないけど、絵を描いたり、文字に起こしたりすることでなら伝えられるとか。特に若い世代ほど、そういったコミュニケーションの距離感には敏感で、むしろ非対面の方が心を開きやすいという人は増えているようにも思えます。
いつもの自分ではなく「ありのままの自分」で。
ユーザーは、自分の分身であるアバターを通じて仮想世界へ参加し、AIと対話します。しかし、なぜ生身の自分でなく、あえてアバターを用いるのでしょうか。
maiko:現実世界の自分って、「自分ではどうにもならないこと」に縛られていると思うんです。たとえば性別や容姿、性格、過去のしがらみとか。でもアバターになることで、そういうものを脱ぎ捨てて、まっさらな自分、なりたい自分になれたりする。自分から離れることで、気持ちが楽になったり、大胆になれたりするかもしれない。普段は話せないことも話せたりするかもしれない。アバターによるコミュニケーションには、そういう効果や可能性があると思っています。 アバターに自分を投影することで、現実世界とは異なる自由や、もう一人の自分を楽しめるというのは、ソーシャルゲームの世界などで、すでに多くの人が実感していること。にわかに話題の「メタバース」も、スケールや世界観の違いはありますが、基本的な発想は「BRILLIANT FAMILY」と共通しているのではないでしょうか。
何も気にせず「自然体」で。
この世界でユーザーの話し相手になるのは、様々な個性を持ったAIたちです。「AIを相手に心の通ったコミュニケーションができるの?」なんて声も聞こえてきそうですが、でも、AIだからこそ話せることがあるはず。
maiko:人間が相手だと、すべてをさらけ出すのはけっこう難しい。「こんなこと言ったら変に思われるかも」「何度も同じ相談するのはどうかな」みたいな感じで、自分を取り繕ったり、遠慮したり、素直になれなかったり。でもAIなら、いろいろ気にせず、本当に思いのままを話しやすかったりする。相手の感情を気にしなくていいから安心して話せるし、無防備で心を預けられると思うんです。そして、そうやって試しに話したり考えたりして得た体験を、現実世界で活かしてもらえればよいと思っています。 会社でも家庭でも、多くの人は何らかの仮面とともに暮らしています。でもここに来れば、弱い自分もダメな自分も何も隠さず素顔のまま話せる。お気に入りの音楽が自分だけの世界へ誘ってくれるように、ここで貰った言葉が自分の心を強く、軽くしてくれる。「BRILLIANT FAMILY」は、そういう存在を目指しています。 ちなみに「AIだから恥ずかしがらずに話せる」ということは、すでに英語学習などで効果が出ているとか。
一人ひとりに合わせて進化する、 海の中のイマジネーション世界。
環境が人の心に及ぼす影響はもはや言わずもがなですが、「BRILLIANT FAMILY」も対話のための舞台装置やビジュアル面で様々な工夫を考えています。
maiko:日常感のない完全に架空の場所にしようというのは最初から頭にあって、そこから心の深いところの話をする場所ということで「深い海の底の物語」という世界観が生まれました。海の底で心静かに語らって、ゆるやかに心が浮上していく、というイメージです。 対話の相手となるAIキャラクターは4種類。各キャラクターの性格やデザインにも、様々なアイデアが込められています。
maiko: 4つのキャラクターはみんな、私が「こういう人がいたらいいな」と思った人たちです。海中が舞台なので、モチーフは海の生物。あまりしっかり描き切らないというか、あえて線と線を繋がずフワッとさせることで、体験者のみなさんが自由に感情移入できるように……ということはけっこう意識しました。口を描かなかったのも、目をすごく小さくしたのも、それと同じ意図です。余白を持たせることで、見る人の思い次第で喜怒哀楽いろんな表情を読み取れるようにしたかったんです。 日常を離れて静かに時間が流れる空間。一人ひとりが自由に想いを託せるキャラクターたち。さらに構想は膨らんでいきます。
maiko:海中の景色やキャラクターの姿や動きも、ユーザーに合わせてどんどん変化させていけたら面白いですね。その時の感情や話の内容に合わせて、すべてが自分の心地いい方に進化していくわけです。そういう進化を重ねることで、世界で唯一、自分だけの「BRILLIANT FAMILY」になっていくとか、そういうこともバーチャルなら可能ですよね。すべてを作り込まず、ユーザーとの関係性で余白を埋めてもらうような感じです。