南青山で富士を目指す旅―DESIGNART TOKYO 2024 富士フイルムデザインセンター

MEMBER REPORT Text by:望月奈々子

2024年10月18日(金) – 10月27日(日)に開催されたDESIGNART TOKYO 2024。今年で8度目の出展となる富士フイルムデザインセンターCLAYスタジオに訪問してきました。

“富士を味わう旅”と題された今回のイベントは、富士フイルムオリジナルの日本酒『富士王』を富士山を眺めながら楽しむ体験です。

メインビジュアルには、新幹線の車窓から流れる富士山が粒状感のあるざらついた質感で描かれており、フイルム写真のような懐かしさと日本酒造りに通じる手仕事の温もりを感じられ、日本の伝統と和の美を強く引き立てています。

入口で手渡される旅のしおりを手に、いざ旅に出発。CLAYスタジオの地下空間へと誘われます。

スポットのサイン
富士フイルムの社名の由来
日本酒『富士王』誕生の物語

『みおろす』『ながめる』『たずねる』『あじわう』といったテーマごとに、各スポットでは、日本酒『富士王』誕生の物語や、富士フイルムの名前に込められた「富士」の意味など、旅の途中に立ち寄るような感覚で富士山の多彩な表情に触れられます。

また、各スポットにはバス停を連想させるサインやスタンプラリーが配置されワクワク感が高まります。

地下フロアへの動線は雄大な富士山を見下ろす展望台のようになっていました。 富士山のスクリーンには様々な山の表情がジェネラティブアートで投影されています。

『浮き富士』(デザイン:株式会社ムラヤマ 中嶋美喜)

そして旅の終点、地下空間にたどり着くと、そこには「浮き富士」が。
シンプルでありながら、ゆるやかな傾斜と布のドレープによって生まれる陰影が、富士山の雄大さと神秘的な美しさを強く感じさせてくれます。

今回、ムラヤマはこの「浮き富士」の制作・施工を手掛けました。富士山のシルエットにこだわり、幕造形の協力会社との打ち合わせを重ねました。

賑わう人々の上に浮かぶ『浮き富士』、昔の絵巻のような景色の現代版が出来上がりました。

「浮き富士」の下には立ち飲みのスペースが設けられ、来場者たちが日本酒『富士王』を片手に談笑しながら和やかなひとときを楽しんでいます。私たちも、この旅限定の「富士山型おちょこ」に注いで乾杯しました。

FUJIOH缶&限定「富士山おちょこ」×おつまみ

今回のイベントは、単なる展示にとどまらず、来場者が主役となり、日本酒『富士王』や富士山が彩りを添える存在として位置づけられている点が新鮮でした。空間デザイン、展示、スタンプラリーなど、細部にまでこだわり抜かれた“富士を味わう旅”は、まさに五感で富士山を体験する旅そのものです。
私自身、静岡県富士宮市という富士山のふもとで生まれ育ちました。富士山のさまざまな表情を感じ、信仰の対象としての存在を改めて実感するひとときでした。

photo : 伊藤孝志・中村津美紀・山ノ内舞夕・中嶋美喜
text : 望月奈々子

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